■結論
クリエイティブの力で団地を再生すると世界の課題を解決できるかもしれない。
団地はどんどん外に開いていくと、まちは良くなる。
■洋光台団地について
築40年以上経過した洋光台団地の再生プロジェクトが、2011年より開始。
隈研吾氏、佐藤可士和氏を始めとした様々な専門家が知恵を出し合い、プロジェクトを進めている。
詳細は、団地の未来プロジェクトHPを参照。
■団地の課題は世界の課題
・建物の老朽化と居住者の高齢化
・生活サービスの質の低下
・スラム化する可能性
団地を再生することで、課題解決を図る。
そのためにはクリエイティブの力が必要。
洋光台では、以下のクリエイティブを活用
・ハード的なクリエイティブ
⇒快適な空間
・ソフト的なクリエイティブ
⇒コミュニティカフェ、ライブラリ
■団地は世界的にも珍しい集合住宅
日本の団地は世界的にも珍しい公的な集合住宅。
アメリカにもヨーロッパにも公的な集合住宅はほぼ無いので、視察に来た時に綺麗に手入れされた団地はビックリされる。
20世紀、ソ連がすごい公的集合住宅を作ったが、日本はもっとすごい団地を作った。
日本の団地にはスタンダードな階層の人が集まって住んでいた。
日本人は何となく、同じような人が集まって住むというスマートさ、シンプルさが好きだったのではないか。
世界的にも珍しい日本の団地は世界に対する発信力がある。
■団地に対する記憶
隈研吾氏が高校生だったころ洋光台団地が建設された。
当時、野山にすごいものができたなという印象だったという。
佐藤可士和氏が小学生だったころ団地が多く建設されていた。
新しいピカピカの団地で、5階の友だちの家から見た景色には驚いた記憶。
楽しかった記憶がある。
■団地ライブラリ
本の差し出し方を工夫した。
テーマの名札がついたかごの中に、セレクトされた本3冊とレジャーシートが入っていて、団地の中に持ち出して読んでもらう。
本をポジティブに外に持ち出してもらい、パブリックな場を本を読む場所とした。
ライブラリの価値を蔵書数では無く、経験の拡張とし、如何に1冊の本が心に残るのかを大事にした。
時間の奪い合いの中で、どうやったら本に時間を使ってもらえるかを考えた。
■URが10年プロジェクトを続けたのが凄い
URの様な大きな公的組織では頻繁に定期異動が行われるため10年という長期スパンの団地再生プロジェクトがこれまで無かった。
初期の団地マネージャーが6年間担当したことが異例だったが良かった
■ゲタバキ住宅の良さ
住宅の1階部分に商業機能が入る、所謂ゲタバキ住宅が良くないとされたことで日本のまちは悪くなっている。
民間のマンションでは1階まで住戸とし、目隠しのために塀を作ったりするので、閉鎖的なまちがつくられてきた。
まちなみを考えると、ゲタバキ住宅は決して悪くないし、むしろ良い。
1階をどうデザインしていくかが重要。
■公益社会主義の社会
株主への配当を第一とする資本主義から、公益資本主義的な試行に移行すべきとの指摘があったが、この部分はこれから勉強する。
■団地を考える時のターゲット設定
団地には様々な人がいるので、特定のターゲットは定めなかった。
世代に関係無く感じる心地よさや、みんなが「いいね」と思うことを大切にした。
本質的な部分を良くしていけば良い。
イベント的にターゲットを絞ってイベントを行うことは良い。
■まとめと感想
団地の問題は社会の問題の縮図と言われることもあるが、全くその通りだと思っている。
しかし、公的集合住宅である団地が世界的にはレアであり、世界に発信力があるということだったので、本気で課題解決に取り組めばパイオニアとしてのポジションを確立できるのではないかと思い、URにとってはチャンスだなと感じている。
各登壇者で共通していたのは、団地を開いてまちにしていくということ。
1階部分を大事にすることで、まちはずっと素敵になる。
丁度、喫茶ランドリーの記事を見ていて、1階って大事だよねと思っていたので、ドンピシャの内容でした。
URの取組として、自分が取り組んでいるDANCHI Caravanの写真も3枚紹介され少し嬉しかったです。
DANCHI Caravanに関しては今日の説明の10000倍くらい素敵なことがあるんですけどね。